2026年8月21日

大腸カメラを受けた際に、
「ポリープがありますね」
「切除しましょう」
と言われた経験はありませんか?
「良性なら放置してもいいのでは?」
「すぐに切除しないといけないの?」
と疑問に思われる方も少なくありません。
今回は、大腸ポリープを放置してもよいのか、なぜ切除をおすすめするのかについて解説します。
大腸ポリープについて
大腸ポリープとは『大腸の粘膜にできる“できもの”』
大腸ポリープとは、大腸の内側の粘膜が盛り上がってできる病変です。
大きさは数mm程度の小さなものから数cmに及ぶものまでさまざまです。
ポリープにはいくつか種類がありますが、その中には将来的に大腸がんになる可能性があるものもあります。
ポリープは放置しても大丈夫?
放置してよいとは言えません
大腸ポリープの中でも特に「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれるタイプは、時間をかけて大腸がんへ進行することがあります。
すべてのポリープががんになるわけではありませんが、
多くの大腸がんはポリープから発生すると考えられています。
そのため、将来的ながん予防のために切除をおすすめすることが一般的です。
大腸ポリープとは?
大きく分けると、次のような種類があります。
腺腫
代表的な腫瘍性ポリープです。良性の段階では「がん」ではありませんが、時間をかけて大きくなり、一部が大腸がんへ進む可能性があります。
鋸歯状病変(きょしじょうびょうへん)
表面が平らで、周囲の粘膜と見分けにくいことがある病変です。種類によっては、腺腫とは異なる経路でがん化する可能性があるため、適切な診断と治療が必要です。
過形成性ポリープ
一般的にがん化の危険性が低いとされるポリープです。ただし、見た目が似ている腫瘍性病変もあるため、内視鏡で丁寧に見分ける必要があります。
その他のポリープ
炎症性ポリープや過誤腫性ポリープなどがあります。治療が必要かどうかは、種類や大きさ、症状などを踏まえて判断します。
つまり、「ポリープ=がん」ではありませんが、「ポリープ=すべて安全」でもありません。 見た目だけでは診断が確定しない病変もあり、切除した組織を顕微鏡で調べる病理検査によって、最終診断がつくことがあります。
大腸ポリープを切除した方がよい4つの理由
1.将来の大腸がんを防げる可能性がある
大腸がんの一部は、正常な粘膜から腺腫ができ、腺腫が少しずつ大きくなってがんへ進む「腺腫―がん連続説」という経過をたどります。
このため、腺腫の段階で切除することは、将来の大腸がんの発生を防ぐための重要な手段です。海外の長期追跡研究では、大腸カメラで腺腫を切除した高リスクの方において、大腸がんによる死亡が一般人口から推計される数より53%少なかったことが報告されています。
大腸カメラは、すでにできているがんを見つけるだけではありません。がんになる可能性のある病変を、がんになる前に発見し、取り除けることが大きな特長です。
2.ポリープは大きくなるほど注意が必要になる
一般に、腺腫は大きくなるほど、がんや高度な異型を含む可能性が高くなります。また、同じ大きさでも、平坦・陥凹型の病変、表面や血管の模様に変化がある病変などは、より慎重な評価が必要です。
日本消化器病学会のガイドラインでは、直径6mm以上の大腸腺腫は内視鏡切除の適応とされています。また、将来のがんへの進展予防を目的として、発見した腺腫は大きさにかかわらず内視鏡切除することも提案されています。
「まだ小さいから、何年も放置してよい」とは限りません。むしろ小さい段階であれば、電気を流さずに切除するコールドスネアポリペクトミーなど、身体への負担が比較的少ない方法で切除できる可能性が高くなります。
3.大腸ポリープは、ほとんど症状がない
大腸ポリープの多くは、腹痛や血便などの自覚症状を起こしません。症状がないまま大きくなり、検診の便潜血検査や大腸カメラで初めて見つかることもあります。
また、ポリープがあっても常に出血するわけではないため、便潜血検査が陰性でも、ポリープがないとは言い切れません。 症状の有無だけで安全性を判断することはできません。
4.切除したポリープを病理検査で詳しく調べられる
内視鏡では、通常光に加えて特殊な光や拡大観察を用い、ポリープの表面構造や血管模様から性質を予測します。しかし、最終的な診断には病理検査が必要になる場合があります。
切除した組織を顕微鏡で調べることで、
・腺腫か、別の種類のポリープか
・がん細胞が含まれていないか
・がんが含まれる場合、どの深さまで達しているか
・切除した範囲に病変が残っていないか
などを確認します。その結果をもとに、切除のみで治療を終了できるか、追加治療や次回の大腸カメラが必要かを判断します。
当院では、小さなポリープも積極的に切除しています
大腸ポリープは、小さいほどがんを含む可能性は低くなります。しかし、腺腫はすでに腫瘍性の病変であり、今は小さくても、そのまま残せば将来大きくなったり、がん化したりする可能性があります。
そのため当院では、腺腫や鋸歯状病変などの腫瘍性ポリープが疑われ、その場で安全に切除できると判断した場合は、数mm程度の小さなポリープでも積極的に切除します。
内視鏡では、ポリープの大きさだけでなく、盛り上がり方、色、表面構造、血管模様などを確認します。当院では通常観察に加えてNBI拡大観察を行い、病変の性質や、どの方法で切除するのが適切かを判断しています。
小さな段階で切除することには、次のような利点があります。
・将来の大腸がんにつながる可能性のある病変を早めに取り除ける
・大きくなってから治療するより、負担の少ない方法を選びやすい
・切除した組織を病理検査に提出し、正確な診断を確認できる
・「次の検査まで大きくならないか」という不安を残しにくい
明らかに非腫瘍性と判断できる病変や、切除の危険性が利益を上回る場合などを除き、取れる腺腫は小さいうちに取ることが当院の基本的な考え方です。
小さいポリープなら放置しても大丈夫?
小さいポリープほど、一般的にはがんを含む可能性は低くなります。しかし、大きさだけで安全とは判断できません。 小さくても腺腫であれば将来がん化する可能性があり、形や表面の模様に注意が必要な病変もあります。
当院では「5mm以下だから残す」と大きさだけで決めるのではなく、腺腫などの腫瘍性病変が疑われ、安全に切除できるかどうかを判断したうえで、可能な限りその場で切除します。
このような方は、大腸カメラをご相談ください
便潜血検査で一度でも陽性を指摘された
血便や便に血が付くことがある
便が細くなった、便通が変わった
便秘や下痢が続いている
原因の分からない貧血や体重減少がある
過去に大腸ポリープを切除した
血縁者に大腸がんや大腸ポリープになった方がいる
40歳以上で、これまで大腸の検査を受けたことがない
便潜血陽性を「痔だろう」と自己判断したり、症状がないことを理由に精密検査を先延ばしにしたりしないことが大切です。
まとめ
大腸ポリープの中でも腺腫は、現在は良性であっても、将来大腸がんへ進む可能性がある腫瘍性病変です。だからこそ、「小さいから残しておく」のではなく、安全に切除できる段階で取り除くことが大腸がんの予防につながります。
総合診療・内視鏡 タナカ内科では、消化器内視鏡専門医が大腸全体を丁寧に観察し、腺腫などの腫瘍性病変が疑われ、安全に切除できるポリープは、大きさが小さくても検査中に日帰りで切除します。大きさや形から専門施設での治療が適している場合は、連携医療機関へご紹介します。
当院が目指しているのは、大腸カメラへの不安や負担を減らし、大腸がんで亡くなる方を一人でも減らすことです。
便潜血陽性を指摘された方、以前ポリープを切除してから検査を受けていない方、大腸カメラに不安がある方も、どうぞお気軽にご相談ください。
執筆者情報

田中大貴
保有資格
- 内科認定医
- 消化器病専門医
- 消化器内視鏡専門医
- 消化管学会専門医
- 肝臓病専門医
- プライマリケア認定医・指導医
- 総合診療科特任指導医
