食欲不振・体重減少
食欲不振・体重減少
~「食べられない」「痩せてきた」は体からのSOS。全身と消化管の精査を~

「最近、食事が美味しくない」「ダイエットをしていないのに、体重が減り続けている」
このような変化にお気づきではありませんか?食欲不振や体重減少は、夏バテやストレス、加齢のせいだと見過ごされがちです。しかし、これらは時に「がん」をはじめとする重大な病気が隠れているサインである場合があります。
当院では、単なる胃腸の不調だけでなく、全身性の疾患や隠れた腫瘍の可能性を視野に入れ、「血液検査」「CT検査」「内視鏡検査」を組み合わせた総合的な診断を行っています。
食欲不振と体重減少は、それぞれ別のメカニズムで起こりますが、密接に関連しています。
「お腹が空かない(食欲の欠如)」場合と、「食べたいけれど、すぐに満腹になる・気持ち悪くなる(摂食障害)」場合があります。消化管の動きが悪くなっているケースや、物理的に通り道が狭くなっているケース、あるいは肝臓や腎臓などの臓器障害により体内に毒素が回って気分が悪くなっているケースなどが考えられます。
食事制限や運動をしていないにもかかわらず、6ヶ月で体重の5%以上(あるいは数キロ単位)の減少が見られる場合は、医学的に病的意義が高い「体重減少」と判断します。これは、栄養を吸収できていない(消化管の問題)か、体のどこかで激しくエネルギーが消耗されている(がんや甲状腺疾患などの消耗性疾患)可能性を示唆します。
これらが生じる原因は多岐にわたりますが、総合診療医・消化器内科専門医の視点では大きく3つのカテゴリーに分けて考えます。
胃や腸に何らかの病変があり、食べ物の通りが悪くなると、物理的に食事が摂れなくなります。また、胃が膨らまない、腸の動きが止まっているといった機能的な問題も食欲不振を招きます。
体に「がん」ができると、がん細胞が増殖するために大量のエネルギーを奪い取ります(悪液質)。また、糖尿病や甲状腺機能亢進症など、代謝が異常に活発になる病気でも、食べているのに痩せていく現象が起きます。
肝臓、腎臓、膵臓などの「沈黙の臓器」の機能が低下したり、体の中に慢性的な炎症(慢性膵炎や自己免疫疾患など)があったりすると、炎症物質(サイトカイン)の影響で脳の食欲中枢が抑制され、食欲がわかなくなります。
「痩せる=がん」とは限りませんが、消化器内科医として最も警戒するのはやはり悪性腫瘍です。
胃がん・大腸がん
がんが大きくなり消化管の内腔を塞ぐと、食事が入らなくなります(通過障害)。また、出血による貧血や、がんそのものの消耗作用で体重が減ります。
膵臓がん
膵臓は消化液を出す臓器です。ここにがんができると消化吸収能力が落ち、急激な体重減少や背中の痛み、食欲不振を伴うことが多いのが特徴です。
食道がん
食べ物を飲み込む際につかえる感じがし、固形物が通らなくなるため、食事量が減って痩せていきます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
痛みや不快感で食事が摂れなくなります。
慢性膵炎・吸収不良症候群
食べたものの栄養が体に取り込まれず、下痢と共に排泄されてしまい痩せていきます。
うつ病・心因性食欲不振
ストレスにより脳が食欲を感じなくなります。
糖尿病・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
代謝異常により、エネルギーが過剰に消費されたり、尿に漏れ出たりして痩せます。
食欲不振や体重減少の原因を特定するためには、「消化管の中(内腔)」と「お腹全体(実質臓器)」の両方を調べる必要があります。これが、当院がCTと内視鏡の併用を推奨する最大の理由です。
食欲不振の原因が、胃や腸の「内側の粘膜」にある場合、これを最も正確に見つけられるのは内視鏡です。
体重減少は「全身性の病気」のサインであることが多いため、胃や腸だけでなく、お腹全体を俯瞰(ふかん)する必要があります。
「胃カメラで異常なし」と言われても、裏にある「膵臓がん」を見逃してはいけません。逆に「CTで異常なし」でも、平坦な「早期胃がん」があるかもしれません。この2つの検査を組み合わせることで、死角をなくし、原因不明の食欲不振・体重減少の正体に迫ることができるのです。
「原因がわからない」という不安を解消するために、当院では順序立てて効率的に検査を行います。
詳細な問診と診察
「いつから」「どれくらい体重が減ったか」「食事は美味しいか」「他に痛みや便通異常はないか」を詳しく伺います。
スクリーニング検査(採血・尿・エコー)
まずは血液検査で、貧血、炎症反応、血糖値、甲状腺ホルモン、腫瘍マーカー、肝臓・腎臓・膵臓の数値をチェックします。これにより、ある程度「疑わしい臓器」の目星をつけます。
精密画像検査(CT・内視鏡)
ここが診断にとって大切です。
上部・下部内視鏡検査
消化管の中に狭窄(狭まり)や腫瘍がないかを確認します。
全身CT検査
肺、肝臓、膵臓、リンパ節など、全身の臓器に腫瘍や異常がないかをスキャンします。
総合診断と治療方針の決定
検査結果を総合し、原因疾患を特定します。当院で対応可能な疾患(ピロリ菌除菌、逆流性食道炎、生活習慣病など)は治療を開始し、手術や化学療法が必要ながんなどの場合は、速やかに高度医療機関へ紹介いたします。
2週間以上続くなら、受診を強くお勧めします。確かにストレスは食欲不振の大きな原因ですが、自己判断は危険です。「ストレスのせいだと思っていたら、実は進行した胃がんだった」というケースは残念ながら少なくありません。検査をして「体に異常はない(心因性の可能性が高い)」と確認することで、初めて安心して心療内科的アプローチなどを検討できます。まずは「体の病気」を除外することが最優先です。
はい、可能です。食欲がなく体力も落ちている患者様にとって、何度も通院するのは負担になります。当院では、予約状況にもよりますが、絶食で来院いただければ同日に採血・CT・胃カメラを行い、迅速に診断へつなげる体制を整えています。ご予約時にお申し出ください。
「フレイル(虚弱)」の可能性もありますが、病気が隠れていることもあります。高齢者の体重減少は、筋肉量が減るサルコペニアやフレイルのほか、嚥下機能の低下、そしてやはり「がん」のリスクが高い状態です。単なる老化と決めつけず、一度は全身のスクリーニング(CTや採血)を受けることで、治療可能な病気を見落とさずに済みます。
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