全身倦怠感
全身倦怠感

「しっかり寝たはずなのに、疲れが取れない」「体が鉛のように重く、何をするのも億劫だ」「階段を上るだけで息が切れてしまう」
全身倦怠感は、誰もが経験するありふれた症状です。そのため、市販の栄養ドリンクやサプリメントで誤魔化し、病院へ行くのを後回しにされがちです。
しかし、医学的な視点で見ると、倦怠感は「身体のエネルギーが枯渇している」または「身体の中で何らかの炎症や消耗が起きている」という重要なSOSサインです。そこには、貧血や甲状腺の病気、そして「がん(悪性腫瘍)」が隠れている可能性があります。当院では、総合診療科としての広い視野と、消化器専門医の鋭い視点を組み合わせ、その「抜けない疲れ」の正体を突き止めます。
倦怠感とは、身体的・精神的な疲労が蓄積し、休息しても回復しない状態を指します。単なる運動後の疲れとは異なり、「病的な倦怠感」には以下のような特徴があります。
特に「ダイエットをしていないのに体重が減ってきた」場合や、「顔色が悪い」場合は、体の中で大きなエネルギー消費(がんなどの消耗性疾患)が起きている可能性が高く、緊急度が高い状態です。
倦怠感の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて4つのカテゴリーで考えます。
最も警戒すべきカテゴリーです。がんは、体内の栄養を勝手に奪い取り(悪液質)、炎症性物質(サイトカイン)を放出して強い倦怠感を引き起こします。
総合診療科でよく見つかる原因です。
甲状腺機能低下症(橋本病など)
元気の源である甲状腺ホルモンが不足し、電池切れのように全身が動かなくなります。40代以上の女性に多く、「うつ病」や「更年期障害」と間違われやすい病気です。
糖尿病
血糖値が高すぎると、細胞が糖をうまく使えず、ガス欠状態になります。
貧血(鉄欠乏性貧血など)
全身に酸素を運ぶ赤血球が足りず、常に酸欠状態でハアハアしている状態です。
心不全・腎不全・肝硬変
重要臓器の機能が落ちることで、老廃物が溜まったり、血液循環が悪くなったりします。
睡眠時無呼吸症候群
寝ている間に呼吸が止まり、深い睡眠が取れていないため、日中に強いだるさを感じます。
うつ病・適応障害
「心のエネルギー」が枯渇し、体も動かなくなります。
更年期障害
ホルモンバランスの乱れにより、自律神経が不安定になります。
血液検査・尿検査(スクリーニング)
まずは全身の状態を数値化します。
画像検査(CT検査・エコー検査)
血液検査だけでは分からない「臓器の形」を見ます。だるさの原因となりうる「膵臓がん」「肝臓がん」「悪性リンパ腫」などは、CT検査や腹部エコー検査で発見できます。当院ではCTも完備しておりますので必要に応じてCT撮影が可能です。また精度の高いエコー検査を行っておりますので、迅速に診断いたします。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)
ここが非常に重要です。もし血液検査で「貧血」が見つかった場合、女性の生理によるものを除けば、「胃や腸のどこかから血が漏れている」と考えるのが鉄則です。その原因は、胃がんや大腸がんかもしれません。
「だるいだけで胃カメラ?」と思われるかもしれませんが、「だるさの原因が貧血で、貧血の原因が大腸がんだった」というケースは、日常診療で頻繁に遭遇します。当院では、鎮静剤を使って眠っている間に終わる苦痛のない内視鏡検査を行っています。「がんではない」と確認できれば、安心して休息や栄養療法に取り組むことができます。
治療
内科的治療
貧血への鉄剤投与、甲状腺ホルモンの補充、糖尿病のコントロールなど。
専門治療への紹介
がんなどの高度な治療が必要な疾患が認められた時、または診断が難しい時は、大学病院などのより精密な検査や高度な治療ができる施設にスムーズにご紹介します。
それは、だるさの原因が「栄養不足」ではないからです。もし原因が甲状腺の病気やがん、あるいは睡眠時無呼吸症候群であった場合、いくらビタミンを補給しても症状は改善しません。効果がない場合は、漫然と続けずに一度検査を受けてください。
「うつ病」と診断されていても、実は背景に「甲状腺機能低下症」や「貧血」などの身体疾患が隠れていて、それが治っていないためにだるさが続いているケースがあります。心療内科に通院中の方でも、一度は内科的なチェックを受けることを強くお勧めします。
確かに高齢者に比べれば確率は低いですが、20代〜30代でも「スキルス胃がん」や「悪性リンパ腫」、「甲状腺がん」などがだるさの原因として見つかることがあります。「若いから大丈夫」という油断は禁物です。
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