腹痛・胃痛
腹痛・胃痛
~痛む場所が教える「内臓からのサイン」
適切な検査で原因を突き止めます~

「お腹が痛い」といっても、その原因は千差万別です。みぞおちが痛むのか、おへその下が痛むのか、あるいは背中が痛むのか。痛みの場所は、どの臓器が悲鳴を上げているのかを知るための最も重要な「手がかり」です。
当院では、患者様の訴える痛みの部位に合わせて、「胃カメラ・大腸カメラ」と「画像診断(CT・超音波)」を適切に使い分け、正確な診断と治療を行うことに全力を注ぎます。
腹痛は大きく「上腹部痛」と「下腹部痛」に分けられ、その多くは消化管(胃や腸)のトラブルに起因します。一方で、「背部痛」は消化管の裏側にある臓器、特に膵臓などの異常を示唆することがあります。当院では、以下の図式で痛みの原因にアプローチします。
上腹部痛(みぞおち)
疑う臓器:食道・胃・十二指腸
主役となる検査:上部消化管内視鏡(胃カメラ)
下腹部痛(おへその下)
疑う臓器:大腸・小腸
主役となる検査:下部消化管内視鏡(大腸カメラ)
背部痛(背中の痛み)
疑う臓器:膵臓・胆嚢・腎臓・大動脈
主役となる検査:腹部CT検査・腹部エコー
そして、これら全ての痛みの精査において、全体像を把握し、緊急性の高い疾患(穿孔や炎症の波及など)を除外するためにCT検査が共通して重要な役割を果たします。
みぞおち周辺の痛みは、胃酸の影響を受けやすい臓器のトラブルが多くを占めます。
逆流性食道炎
胃酸が逆流し、胸焼けやみぞおちの痛みを引き起こします。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
ピロリ菌や痛み止め(NSAIDsやアスピリン)、ストレスなどで粘膜が傷つき、強い痛みが生じます。
機能性ディスペプシア
粘膜に明らかな異常がないにも関わらず、胃の働きが悪いために痛みやもたれを感じます。
アニサキス症
生魚を食べた後に激しい胃痛が生じます。
胃がん
初期は無症状ですが、進行すると痛みを伴うことがあります。
上腹部痛の原因となる病気の多くは、胃や十二指腸の「粘膜の表面」で起きています。微細な炎症、潰瘍、早期の色調変化(がん)は、CT検査では映りません。直接カメラで粘膜を観察できる胃カメラこそが、確定診断のためのゴールデンスタンダード(標準検査)です。
下腹部の痛みは、便通異常(下痢・便秘)を伴うことが多く、大腸疾患の可能性が高まります。
感染性腸炎
ウイルスや細菌による感染で、急な腹痛と下痢を起こします。
大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)
大腸の壁の小さなくぼみ(憩室)に炎症が起きる病気です。
虚血性腸炎
腸の血流が悪くなり、突然の腹痛と下血が見られます。
過敏性腸症候群
ストレスなどで腸が過敏になり、腹痛と便通異常を繰り返します。
大腸がん
進行すると腸が狭くなり、痛みや便秘、血便を引き起こします。
大腸の内側も胃と同様に、粘膜の変化を直接見る必要があります。特に大腸がんはポリープから発生することが多いため、大腸カメラでポリープを発見・切除することが、将来のがん予防にも直結します。
※憩室炎などの強い炎症がある急性期には、カメラよりもCT検査を優先する場合もあります。
「背中が痛いから整形外科に行ったが異常なしと言われた」そのような場合、内臓、特に背中側の臓器が原因である可能性が高いです。
急性膵炎・慢性膵炎
膵臓は胃の裏側に位置するため、炎症が起きると背中に強い痛みが生じます。アルコールや胆石が主な原因です。
膵臓がん
早期発見が難しいがんですが、背中の痛みや違和感が初期症状として現れることがあります。
尿路結石(腎結石・尿管結石)
七転八倒するような激痛が背中や脇腹に走ります。
解離性大動脈瘤
血管が裂ける病気で、背中に引き裂かれるような痛みが生じます(緊急疾患です)。
膵臓や腎臓にはカメラを入れることはできません。
腹部エコー
体への負担がなく、第一選択として行われます。
腹部CT検査
エコーではガスで見えにくい膵臓の全体像や、大動脈、石の位置などを客観的かつ詳細に描出できます。背部痛の精査において、CTは極めて強力な武器となります。
当院がCT検査を重要視している理由は「内視鏡では検査できない部分をカバーできるから」です。
腹痛の原因は必ずしも胃や腸のみにあるとは限りません。例えば、以下のようなケースは胃カメラや大腸カメラでは診断できません。
内視鏡が「粘膜(胃や腸の壁)を見るプロ」だとすれば、CTは「お腹の断面図を見て、臓器の状態や炎症の広がりを把握するプロ」です。「上腹部痛だから胃カメラ」だけでなく、必要に応じて即座にCT検査を組み合わせられる体制が、見逃しのない診断には不可欠なのです。
当院を受診された際の、標準的な診療フローをご紹介します。
問診・身体診察
「どこが」「どのように」「いつから」痛むのかを詳しく伺います。医師がお腹を触診し、圧痛(押して痛い場所)の部位や、腹膜刺激症状(お腹が硬くなっていないか)を確認し、緊急度を判断します。
血液検査・尿検査
炎症反応(CRP、白血球)、貧血の有無、肝臓・膵臓の酵素、腎機能などを数値で確認し、どの臓器に負担がかかっているかを推測します。
適切な画像検査の選択
痛みの部位と血液検査の結果に基づき、最適な検査を選択します。
※症状によっては、同日に「CT検査」と「胃カメラ」を組み合わせて行うことも可能です。
診断と治療
検査結果に基づき、投薬治療、生活指導を行います。入院や手術が必要な重篤な疾患(虫垂炎の手術や、進行がんなど)が見つかった場合は、速やかに連携する高度医療機関へご紹介いたします。
明確な症状がある場合は、圧倒的に「胃カメラ」をお勧めします。バリウム検査はあくまで影絵を見る検査であり、平坦な病変や微細な色の変化はわかりません。また、異常が見つかれば結局胃カメラが必要になります。当院の胃カメラは鎮静剤を使用し、苦痛を抑えた検査が可能ですので、直接観察できる胃カメラをご選択ください。
「どんな痛みか」によりますが、迷ったら内科(消化器内科)でのCT検査をお勧めします。「動かすと痛い」「特定の姿勢で痛い」場合は整形外科的(筋肉や骨)な問題が多いですが、「じっとしていても痛い」「食事やお酒のあとに痛む」「脂汗が出る」といった場合は、膵臓や血管などの内臓疾患が強く疑われます。これらは命に関わることもあるため、まずは内科でCT検査を行い、内臓に異常がないかを確認するのが安全です。
当院では、必要最小限の線量で撮影できる最新のCT装置を導入しています。CT検査による医療被曝は健康に直ちに影響を与えるレベルではありませんが、不必要な撮影は避けるべきです。当院では、医師が「診断に必要不可欠」と判断した場合にのみ、メリットがデメリットを上回ることを前提に検査をご提案します。不安な点は診察時にご相談ください。
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