慢性便秘症
慢性便秘症
市販薬が効かなくなってきた方、お腹の張りに悩む方へ

「毎日出ていないから便秘」だと思っていませんか?
実は、毎日出ていても「出すのに時間がかかる」「出した後にスッキリしない(残便感)」のであれば、それは立派な「便秘症」です。
便秘は、単にお腹が苦しいだけでなく、食欲低下、肌荒れ、イライラなど、全身の不調につながります。
さらに怖いのは、その便秘の原因が、大腸がんによる「腸の通過障害(詰まり)」である可能性があることです。
当院では、単に下剤を出して終わりにはしません。
まずは内視鏡検査などで「隠れた病気(大腸がん等)」がないかをしっかり確認します。
その上で、「そもそも本当に便秘なのか?」「あなたにとっての便秘治療のゴールはどこか?」を医師と一緒に考え、便秘に対する「意識」を変えていくことから治療をスタートします。
排便の回数よりも、「出した後の感覚」が重要です。医学的には、以下のような状態が続く場合を「慢性便秘症」と診断します。
しかし、数字だけに囚われる必要はありません。「毎日出さないといけない」という強迫観念そのものが、ストレスとなり便秘を悪化させていることも少なくありません。
「出ないこと」そのものよりも、「出ないことによる不快感」を解消することが治療の目的です。
便秘症にはさまざまな原因があります。たとえば、朝食をとっていない、食事の時間が不規則である、といった生活スタイルが原因となることもあります。
主な原因として、以下のようなものが挙げられます。
食物繊維の不足
野菜、果物、全粒穀物の不足
水分不足
十分な水分摂取がないと便が硬くなります
運動不足
運動は腸の動きを促進します
不規則な排便習慣
トイレを我慢する習慣があると便秘になりやすくなります
加齢
年齢とともに消化機能が低下します
妊娠
ホルモンの変化や子宮の圧迫により便秘が起こりやすくなります
腸の病気
大腸ポリープ、腸閉塞、過敏性腸症候群(IBS)など
鎮痛薬(特にオピオイド)
これらの薬は腸の動きを遅くします
抗うつ薬
一部の抗うつ薬が便秘を引き起こすことがあります
ストレス
精神的なストレスや緊張が腸の動きに影響を与えることがあります
ホルモンの変化
甲状腺機能低下症や糖尿病などのホルモン異常
便秘の原因は、大きく「腸の動き(機能)の問題」と「通り道(形)の問題」に分けられます。
腸がサボっている(運動不足・加齢)
筋力の低下や運動不足により、腸が便を押し出す力が弱まっています。高齢者や女性に多いタイプです。
便意を我慢してしまっている
出口まで便が来ているのに、「今は忙しいから」と我慢することを繰り返すと、直腸のセンサーが鈍り、「出したい」と感じなくなってしまいます。
ストレスによる引きつり
ストレスで自律神経が乱れると、腸が痙攣(けいれん)して動きが不規則になります。コロコロとした硬い便(ウサギの糞のような便)しか出ないのが特徴です。
大腸がん・巨大ポリープ
がんやポリープが大きくなり、腸のトンネルを物理的に塞いでいます。
「最近、急に便秘がちになった」「便が細くなった」という場合、食事や運動で改善しようとするのは危険です。すぐに検査で「詰まりの原因」を確認する必要があります。
甲状腺機能低下症、糖尿病などの全身疾患や、抗うつ薬などの副作用で便秘になることがあります。
「がん」ではないことを確認して、安心しながら治療をしていきましょう。「便秘で受診していいの?」と迷う必要はありません。 当院では、まず「危険な便秘(がん等)」を除外し、その上で最適な薬を選びます。
問診・腹部レントゲン(またはCT)
お腹のガスの溜まり具合や、便がどこに詰まっているかをレントゲン(またはCT)で確認します。これだけでも腸の状態がかなり分かります。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
ここが診断のポイントです!特に40歳以上の方や、急に便秘になった方には強くお勧めします。「ただの便秘だと思っていたら、直腸がんが便の通り道を塞いでいた」というケースは珍しくありません。
また大腸内視鏡を行う際に使う下剤で排便状況が変化することもあります。
血液検査
甲状腺機能低下症や糖尿病など、全身の病気が原因で便秘になっていないかを調べます。
もちろん、薬を使わずに自然に出ることが理想ですが、長年の便秘で腸の機能が低下している場合、無理に薬をゼロにしようとするとかえって辛い思いをすることがあります。
当院の治療方針は以下の通りです。
まずは「不快感」を取り除く
新しいタイプのお薬などを使用し、まずは「苦しくない状態」を作ります。
ご自身に合ったペースを見つける
「毎日」でなくても構いません。「このペースなら調子が良い」というリズムを見つけます。
お薬とうまく付き合う
「一生薬を飲み続けるのは怖い」と思われるかもしれませんが、高血圧の方が降圧剤を飲んで数値をコントロールするように、便秘症の方も「お薬の力を借りて、良い腸内環境をキープする」という考え方も一つの正解です。
患者様の腸の状態やライフスタイルに合わせて、漢方薬や新しい便秘薬を組み合わせ、「生活の質(QOL)を上げること」を最優先に処方を調整します。
「飲み続けても安全な薬」でコントロールできればOKと考えましょう。もちろん減量や中止を目指しますが、無理をして便秘を再発させるよりも、体に負担の少ないお薬(酸化マグネシウムや新しい上皮機能変容薬など)を続けて、快適な毎日を送るほうが体にとっては良いことです。無理のない範囲で調整していきましょう。
はい、「安心の土台」を作るために非常に重要です。便秘治療で一番怖いのは、「実は大腸がんで詰まっていた」というケースを見逃すことです。一度内視鏡検査を受けて「腸の中はきれいですよ、悪いものはないですよ」と確認できれば、「この便秘は機能的なもの(体質や動きの問題)なんだ」と安心できます。この安心感こそが、治療の第一歩です。
院長からのメッセージ
「便秘のゴール」を、一緒に考えませんか?
便秘外来に来られる患者様の多くは、「薬を使わず、赤ちゃんの頃のような自然な排便に戻りたい」と願っていらっしゃいます。もちろんそこを目指しますが、長年酷使してきた腸にとって、すぐにそこへ戻るのは現実的に難しい場合も多々あります。
私は、治療のゴールは「薬ゼロ」だけではないと考えています。たとえお薬の力を借りたとしても、「トイレのことを気にせず、美味しくご飯が食べられる」「お腹の張りに悩まされず、仕事や趣味に集中できる」。この「普通の生活」を送れるようになることこそが、本当のゴールではないでしょうか。
「絶対に毎日出さないといけない」「薬に頼るのは悪いことだ」そんな思い込みが、あなたの腸を窮屈にさせているかもしれません。
まずは内視鏡検査で大きな病気がないことを確認し、安心した上で、「あなたにとって一番心地よい排便リズム」を一緒に探していきましょう。焦る必要はありません。じっくりとお付き合いさせていただきます。
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